大気中に放出された熱(水蒸気)は高層で膨張すると断熱冷却を起こし、熱を放出して氷の粒になり雲となります。巨大な雲ができるという事は、放出された熱も莫大なわけです。 しかし、その莫大な熱が宇宙空間へうまく排出されていきません。 大気中の微粒子や保温効果を持つ二酸化炭素の増加によって、“蓋”を閉められているからです。 つまり、ガイアが開放定常系ではなく、閉塞空間になりつつあるということです。 閉塞空間内では、エントロピー(廃物・廃熱)は常に増大していきます。 下から弱火でコトコト煮詰められている、蓋をされた鍋―を思えばよいでしょうか。 さらに、大気汚染は酸性雨を降らせることにより、ガイアの肺としての森林に決定的なダメージを与えます。タバコの煙害によって肺ガンになるようなもので、木々(肺の細胞)が次々と立ち枯れていきます。 こうして、二酸化炭素を酸素に変える炭素循環の機能はますます失われて、保温効果が進む悪循環が起こります。 樹木は炭素循環を担うだけではなく、強力な保水力も持っています。 その樹木が消えていく中、雨はそのまま鉄砲水となり、あるいは土砂崩れを起こして、動物や人の住む場を奪っていきます。 2004年は、ついに生態系の乱れが顕在化し始めた年でした。 クマとのニアミスです。 原因を列挙すれば次のようになります。 @宅地開発、酸性雨、広葉樹から針葉樹への転換などによるクマの居住圏の激減 A人手が入らなくなったことによる山林の荒廃 B超過疎、廃村などによりクマが人家に慣れてきたこと C逆に観光で山奥に入る人が増え、ゴミを捨てることによりクマとゴミとの接触が増えたこと これまでに蓄積されてきた上記のような状況が、クマと人間との距離を縮めてきたと言えます。いわば、危険水位がどんどん上昇してきたわけです。そして、異常気象により一挙にその水位は境界を超えあふれ出しました。 D相次ぐ台風によりブナ、ミズナラの花や実が飛び散り8〜9割が凶作(本州・日本海側) → 冬眠前のクマにとっては一大事の食糧難 かくして背に腹は変えられず、クマは人里に降りてきたということなのでしょう。 |