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■復刊によせて



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(復刊本 2000円)
★復刊によせて
1997年。
神戸市で連続児童殺傷事件が発生、複数の小学生が通り魔によって殺傷されました。挑発的な犯行声明、被害者の男児の頭部を中学校の正門前に置くという猟奇性から異常者の犯行とみなされましたが、犯人が14歳の中学生と知り社会は震撼します。

1999年。
『「少年A」この子を生んで……』という両親の手記が発表され、社会は混乱の中に突き落とされます。どこにでもある平凡な家庭−そのどこに事件にいたる芽が潜んでいるのかがわからなかったからです。私は、ある嫌な思いを感じて、この本をしまい込みました。

2004年。
少年Aの医療少年院退院に当たって、「心の闇」を解明できなかった社会は、原因を少年の特殊性に求めてけりをつけようとしました。もはや書くしかない。私は、しまい込んでいた両親の手記を引っ張り出しました。私から見れば、その本の中に全てが現れていました。

こうして本書は、2005年8月に生活情報センターより刊行されましたが、2007年3月の同センター解散に伴い絶版となります。が、3ヶ月後の6月にはアマゾンで倍の価格で古書が売買されるようになり、1年後の2008年5月には最高で2万円の値がつくほどになりました。理由は、本書刊行と同時期に開設したブログ「あなたの子どもを加害者にしないために」が読まれるようになったためです。

秋葉原通り魔事件のあった2008年6月には、同事件の解析記事が様々なサイトで取り上げられたため、6万人、のべ30万ページが読まれました。
そして、同事件を起こした加藤被告が酒鬼薔薇世代と呼ばれたところから、凶悪な少年犯罪の原点とも言うべき酒鬼薔薇事件を詳細に解き明かした本書に注目が集まり、復刊ドットコムに本書を読みたいという287票もの熱烈な復刊投票が行われた結果、このたび復刊に至りました。

ご声援いただいた皆様、また復刊に向けてご尽力いただいた皆様、本当にありがとうございました。

中尾英司

★大切なのは、自分を変える勇気を持つこと―復刻版あとがき
1997年の神戸児童殺傷事件も、2008年の秋葉原通り魔事件も、ともに家庭内で心を追い詰められた子どもたちによる事件です。
しかし、社会の受け止め方は大きく異なりました。 10年前は、異常者による犯行とみなしていましたが、秋葉原の事件では「もしかしたら我が家も……」と他人事ではない反応が見られたのです。

また、本書刊行当時、本書のタイトルは「うちはそういう子育てはしていない」と敬遠されました。しかし、現在は、このストレートなタイトルが親を惹きつけているようです。

わずか3年の差ですが、人々の心は大きく変化していると実感します。
一つは、追い詰められている人が増えたということです。
もう一つは、ブログを武器にして弱者が声を上げ始めたということです。

追い詰められていた人は、この思いが自分一人ではないことに気づき始めました。その追い詰められた方々の力が、自分たちの心情を代弁するかのような本書を再度世に復活させてくれたと思います。

知識は気づきを生み、行動を変えます。
今の日本の社会や制度は「心」を大事にしていないとつくづく感じます。
是非、本書を読み力を得て、一人一人が自分を変える勇気を持ってください。
そこからしか、日本は変わっていきません。

また、本書に書かれているものの見方や知識を共有することが、ハラッサーやモンスターペアレンツをのさばりにくくします。地域社会が大切であることも改めて認識できれば、ワークライフバランスの是正にもつながるでしょう。

地域に面的に広げるために講演やセミナーなどどこへでもお伺いしたいと思います。
それが、本書を再びこの世に誕生させてくれた皆様へのご恩返しです。

私たちの子どもたちのために、住みよい社会を取り戻しましょう。

ありがとうございました。

中尾英司
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