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HOME講演履歴>産業カウンセリング第36回全国研究九州大会(2006.05.28)

■産業カウンセリング第36回全国研究九州大会(アクロス福岡)
■大企業の組織改革を成功に導いたカウンセリングパワー
 ―鷹山が難儀した「心の壁」をいかにして溶かしたか―

【目的】
私は、大企業病に陥っていた会社でプロジェクトリーダーとして4年にわたって組織改革を率い、システム・業務プロセス・意識の三位一体の変革を成し遂げた。
米国でさえ1000に3つも成功例がないと言われる「ITを用いたBPR」を成功させた要因―それは私が人の気持ちにフォーカスし、カウンセリングを活用したことにある。

本講演では、いかに困難な状況で、どのように私が行動し、その結果どうなったのか、という具体的な話および心理メカニズムの解説を通して、「カウンセリングによる行動変容」がビジネスの現場でも実際に起こることを追体験していただければと思う。
そして、「聴く」ことの本質的な意味と効果を理解され、メンタルヘルスのためのカウンセリングではなく、組織を活性化し企業変革にまで導くものとしてのカウンセリングパワーに目を見開いていただければ幸いである。


【方法】
企業におけるハイエンドの仕事は「会社を変える」ことである。目的は組織の生産性を上げるため。
その目的達成のために、企業は“仕組”と“士気”の両面からアプローチしようとする。
情報技術(IT)を導入することによって仕事のやり方を変えたり、モチベーションアップのために人事制度を変えたりする。が、その多くは混乱を巻き起こして、さらなるモラールダウンにつながることが多い。その理由は「心」を置き忘れているからだ。

世代、性別、プライド、価値観、不作為…それらの壁に囲まれていつの間にか自分の心の中に「あきらめの壁」を作り上げ「言っても無駄だ」「やるだけ損だ」と動かなかない人々。
反改革キャンペーンを張る抵抗勢力、
過去の因縁から協力しようとしない組織、
どうせダメになると本腰を入れないプロジェクトメンバー、
部分最適で動く関係セクション、
プロジェクトリーダーに任せきりのトップ
―そういう実態の中で、多くの企業は多額のコストとエネルギーをかけながらも挫折していく。

私も上記四面楚歌のまっただ中に置かれた。が、当時産業カウンセラー養成講座で学び、その後もシニア目指して毎月逐語訓練を続けていた私は、訓練で得たスキルを全て会社で実施し、またカウンセラーを活用した。


【結果】
敵対していた組織を結び合わせ、抵抗勢力を味方につけ、会社を改革の端緒につけることができた。
次に、泣かず飛ばずだったプロジェクトメンバーの気持ちに火をつけて、事業部は一丸となっていったのである。
それは、命令や圧力、正論で言うことを聞かせようとして混乱が拡大する中で、その混乱を収拾して勝ち得た大成功であった。


【考察】
カウンセリングの目的は、個人の自律による行動の変容だ。
本事例は、組織の自律による企業行動の変容である。
つまり、カウンセリングは対個人のみならず、組織を変える=会社変革にも有効であることを実証した。

会社を変えることはそこで働く人の気持ちを変え、行動を変えることである。
人の気持ちを変えるためには先ず信頼を得ること。
信頼を得るためには相手を受け止めること。
相手を受け止めるには「気持ちを聴く」こと
―そういうセオリーを私は貫いた。

高圧的に従わせようとする事例も出てくるので、人の「心の壁」を溶かすのは“北風”ではなく“太陽”であることがよりくっきりと分るであろう。


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