「なぜ話を聴くことで、相手の行動に変化が生まれるんですか?」 初級産業カウンセリング養成講座の仲間であるその女性が、腑に落ちない様子で島津に聞いてきたことがあった。 島津は毎週土曜日講座に通っていたが、昨年も家族相談士の研修に通い資格も得ていたので、今の講座の仲間から見ればカウンセラーとして一年先輩だったのである。 「そうだなぁ、カウンセラーのゴールは相談者が自律できることだよね。 自律というのは、自分の問題を自分で解決できるようになることだ。 カウンセラーは人間の自己解決能力を信じている。つまり、誰でも自律できるってことだ。 じゃあ、なぜ問題解決に向かう行動ができないか。 それは、なんらかのわだかまりがあるからだと考えるのさ。 よく言うだろ。素直になれないってやつだ。 だから、本人が自分の感情に気づくなり整理できるなりしてわだかまりが消えれば、自ずとなすべき行動をとるようになる。 だからカウンセラーの役割は、相談者の課題を一緒に悩むことではなく、相談者が自らその課題に取り組むことができるように助けてあげること。 つまり、事実ではなく感情にフォーカスして相槌を打つことによって、自らの感情に気づいてもらうように聴くことが仕事なんだよ」 『あきらめの壁をぶち破った人々』より |
*ここに、カウンセリングの本質が尽くされています。 実際にどう聴いて、どう変化したのかは小説をご覧下さい! ご参考 → 「抵抗勢力を味方にする方法」「主体性を引き出す「心のコップ」の考え方」 |