5、「やらせる事務局」に陥る考え方 |
「言いたいことは分かるけどさ、一概に甘えとは言い切れないぜ。 俺だって自分がコアメンバーだったら同じようなことを言うと思うなぁ。 緒方君も一度やらされる側の立場に立ってみるといいよ」 「やらされる側、ですか」 「そう、やらされる側だ。 俺なら、自分がコアメンバーに選ばれた時点で、もういやな気分になるなぁ。 あぁ、よけいな仕事が増えるってね。(略) 「しかし、そこは全カンパニーのBPRにつながる重要なプロジェクトですから意識を切り替えてもらわなければ……」 「うん。確かに意識の持ち方の問題は大きい。じゃあ、どう変える?」 「それは、このプロジェクトの意義と重要性を理解すれば、あとは自覚の問題じゃないですか」 さも当たり前のように緒方は言った。 すでに"やらせる事務局"の誤謬に陥っている。 |
*「自覚が足りない」…よく言われる言葉です。 が、「自覚」とは押し付けるものではなく、生まれるものです。 ですから、やるべきことは自覚が生まれるように導くこと。 島津は、自覚が生まれるように環境を整えるという布石を打っていきます。 では、どのように布石を打っていったのか? は、小説に具体的に書いていますので、そちらで。 ここでは、もっと根本的に、人の気持ちがどう変わるのかを押さえておきましょう。→7へ |