16、なぜ、引き際が肝心なのか? |
「今回をかぎりに、運用担当者会議から離れさせていただきます」 「どうして!」 富樫は思わず大きな声を出した。 「もう稼動して五か月が経ちます。そして四月には、富樫さんをボスに開発管理部内に文書管理Gが設置されますよね。名実ともに独立する時ですよ。もちろん、事務局会議には参加させていただきますが」 実は、今日富樫が島津たち外野に意見を求めた瞬間に決めたことだった。 その時島津には、富樫との関係が共依存になってはまずいという思いが走った。 共依存とは、互いが互いに甘えあっている関係である。 富樫は窮した時に島津に頼る。 しかし、けっして自分のやり方を変えようとしない。 自分を変えようとしないままに頼っている。 つまり甘えである。 島津も、富樫やチームに助言することだけが役割になってしまうと、結局そのチームが"不完全であること"に依存していることになる。 このお互いがお互いに依存し合う状況が固定化してしまうと、その状態を変えるのは非常に難しくなってしまう。 |
*身を引くときは、「見極め」と「タイミング」が大切です。 身を引くことにより、その組織が崩壊してしまっては元も子もありません。 一方、居座ることにより組織が育たなくなることも避けなければなりません。 島津は、引き際を測るまでの間に、あの手この手で組織の育成を図ってきました。 そして、独り立ちできると踏んだから、タイミングを見つけて引くことが出来たわけです。 では、どのように組織育成を図ってきたのか? それは小説をお楽しみ下さい。 崩壊しかかった組織を立て直すために、具体的にどのように行動したのかが描かれています。 |