18、「問題児」は組織がおかしい事を示す“炭坑のカナリア” |
富樫が考える「問題児」から彼が学ぶことがまったくなければ、彼の運営する運用担当者会議の「組織風土」は変わることなく温存されることになる。 風土が変わらなければ、人を変えたところでまた同様な問題が起こり続けることになる。 つまり、システムになんらかの問題や無理がある時に現れる「炭坑のカナリア」ともいうべき人間、 それが「問題児」であり、「問題児」とは「組織風土」の発するSOSなのだ。 彼らはある意味、身体を張ってその組織(システム)がどこかおかしいと教えているのである。 家族相談士でもある島津は、家族療法の基本概念である「システムズアプローチ」の考え方で組織を見ていた。 |
「システムズアプローチ」とは、理論生物学者フォン・ベルタランフィが唱えた「一般システム理論」を基にした考え方や対処法をいいます。 たとえば、家族カウンセラーは引きこもりや家庭内暴力を起こす子供をクライエントとは呼ばずにIP(Identified Patient、Index Person)と呼びます。 "患者とみなされる人""指標となる人"というような意味です。 その人に家族というシステムの病理が体現されていると見るわけです。 人間の身体でも、そのもっとも弱い部分に病変が現れ、それを患部と言いますが、IPは家族システムの言わば患部なのです。 同様に、会社の中で問題行動を起こす人も、社会の中で問題行動を起こす人も、IPと呼べる側面があります。 「子は親の鏡」 「青年は社会の鏡」 そして、 「社員は会社の鏡」 なのです |